Profile/プロフィール
政府の構造改革委員としての活動
自分が政府の仕事に携わることになろうとは思ってもいませんでした。
愛知での研究会や講演会を通じ、「緩和医療の推進を!」といくら声を上げても、遠く厚労省には届きません。なぜ良い医療を、国政として重点的に取り上げてもらえないのかが理解できませんでした。
では一体どのような仕組みで、政策が決定されているのでしょうか?その仕組みが知りたくて九州大学の医療経営管理学教室で医療政策を学ぶことにいたしました。
時代は小泉改革の真っ最中、たまたま読んでいた新聞に「特区評価委員公募」という記事を見つけ、まさかと思い、授業のレポートを小論文に書きなおし、応募いたしました。
結果は信じられないことに「合格」。そこから特区制度とどっぷりとお付き合いする6年が始まりました。
お役所言葉にも慣れない中、まず、特区制度の評価システム自体を作り上げる作業を始めました。周囲は錚々たるメンバー。言葉すべてがチンプンカンで、会議で発言するたびに足が震えていました。
特区とは、その名の通り、全国一律の制度・規制が足かせとなり実施できず困っている事例・新しい産業などのアイディアを、地域や個人から募集し、地域限定で実施してみる社会実験の制度です。
その実験の結果から、全国化するのか、特区として残すのかなどの選択を、本部に提言するのが、評価委員会(現:評価調査委員会)の仕事でした。
なかでも有名なのは、「どぶろく特区」「英語特区」「ボランティア輸送特区」「公立保育園給食外搬特区」などで、すでに全国化されたものも多くあります。
全国へ視察に伺い、調査にご協力いただく中で、地域や現場の方々は切々と自らの「思い」を語られます。その「思い」を一つでも実現したいと、所管省庁とぶつかり合いながら交渉をすすめてきました。
例えば、小規模多機能型居宅事業では、障害児・障害者を受け入れる特区があります。老人を受け入れるよりも、手間もかかり、収入が減るにもかかわらず、地域のニーズに応えたいと特区に手を上げてくださいました。
また、鳥獣被害のため、罠を仕掛けるために、免許を持たない方々の協力を得る特区もあります。猟友会のメンバーの方々はほぼ毎日、ボランティアで、罠を観察に山々を駆け巡っていらっしゃいました。それも地元の作物や子ども達を守りたいという一心からの協力でした。
このような温かな思いこそ、地域支える絆として再確認しなければならないことだと思います。
皆様のアイディアを特区として実施できるかどうか、制度の入口にもかかわらせていただけるようになったのは、特区制度5年目。その時に出会ったのが、大分看護科学大学からのNP(診療看護師)制度のご提案でした。特区としても認められないと、門前払いを受けていたこの制度の重要性と御提案者の思いは、チーム医療を目指している私が一番分かります。
他の委員の皆様も、御提案者や私の熱意に負けてか、熱心に議論していただいた結果、ようやく厚労省も重い腰を上げ、「特定看護師」としてモデル事業を立ち上げていただけることになりました。制度化するまで、これからが本番だと気を引き締めています。


