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2010-08-09

あなたの身体は誰のもの?

ニュースを見て驚きました。
日本臓器移植ネットワークは、関東甲信越地方の病院に交通事故で入院していた二十代の男性が、臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表しました。その男性は、書面で臓器移植の意思を示していませんでしたが、家族に口頭で伝えていたと言います。

今まで行われた臓器移植には、本人の意思確認が必要でした。しかし、7月17日に全面施行された改正臓器移植法では、本人の意思表示がなくても家族の承諾で、提供が認められるため、「これが1例目になるのか!」と注目が集まりました。

しかし、忘れてはなりません。99年の高知赤十字病院での臓器移植1例目、医療者もマスコミも過熱しすぎて、ドナーのご家族への人権侵害が行われ、多くの方々へ多大なご迷惑をおかけしてしまったことを。

ここ愛知でも、中日新聞が「娘が脳死になった―17歳ドナーの真実」という連載が行われたことを覚えていらっしゃいますか?99年交通事故に遭い脳死状態となった愛知県内の女子高生の母親の苦悩を切々と語ったものです。家族の苦悩は、ドナーカードを見つけたところから始まります。 結局、女子高生は鼓膜が損傷していて基準通りの検査ができず、「脳死判定」は途中となりましたが、女子高生は事故から八日後に亡くなり、心停止後に腎臓(じんぞう)が一つ提供されたということです。

今回も、「家族承認における脳死移植」について、意思決定の過程などについては、議論する必要はあるかと思います。しかし、その他はいつもの臓器移植と変わるものではありません。臓器移植の質には何も影響ないのです。臓器を運ぶところを撮影し、個人を特定するような報道は止めていただきたいと願っています。

ここ愛知にも臓器の一部が運ばれてくるようです。個人を誹謗中傷することに時間を費やすのではなく、より成熟した臓器移植システムを構築するためにも、その制度の在り方について注目し、議論を行ってもらいたいものです。

一医療者としての願いです。

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プロフィール

薬師寺道代
(やくしじみちよ)
参議院議員
医師
(専門:生命倫理・医療政策・緩和医療・医療コミュニケーション)
NPO法人 からだとこころの発見塾 理事

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