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厚生労働委員会

  • 2016-05-12 (木) 12:05
  • 日記

5月10日厚生労働委員会一般質疑。

参議院選挙のため、今回の国会は6月はじめには閉めなければなりません。

閣法も質疑しなければならぬ問題山積の厚労分野、委員会もタイトなスケジュールです。

今国会中は一般質問は今日が最後になるかもしれません。

そのため、私の原点でもある「がん対策」について質問させていただきました。

 

今までのがん対策は「医療」を中心にキュア(治す)することがゴールと設定され、議論が尽くされてまいりました。

しかし、国民の二人に一人はがんを罹患する世の中となった今、我々の目指すゴールは、キュアのその先にある「ケア・社会との共存」に置くべきであると私は考えております。

 

国立がんセンターで頭頸部外科のレジデントであった25年前、手術で顔面を切除し、病気は治ったが社会的に普通の生活がおくれず、「心」が死んでしまった患者さんを何人も診てまいりました。

「生きる」ということは心臓が動いていることではありません。

「生きる」とは社会の中で活かされてこそ初めて体感できる力なのです。

私は受け持たせていただいた患者さん方に導かれ、頭頸部外科医から緩和医療医へ、メスを下し患者さんに寄りそう介添え役として学びを深めてまいりました。

そして今、産業医として疾病を持ち社会の中で生きていこうとする方々と企業をつなぐ役割を担わせていただいておりますが、患者さんが生きている企業社会の現実は甘くないのです。

 

現在、がん患者の3人に一人は就労可能年齢で罹患し、がんを抱えながら仕事を続ける人は約32万人。

しかし、がん患者のうち体力の低下などの理由で依願退職または解雇された者は34.6%、10年前と全くその状況に変化はないのです。

厚労省も無策であったわけではありません。

「がん就労復職支援ガイドブック」はじめ、様々なマニュアルやサイトなどを作成しても効果なし。

それはなぜなのか、ガイドブックなどの成果物にこだわり、現場や患者さんのニーズをとらえきれず、政策の充実が図られてこなかったからです。

 

時短勤務制度を導入できれば3人中2人以上のがんサバイバーが復職でき、病休日数も、フルタイムであれば6か月かかるところ、時短勤務制度を導入すれば80日へと大幅な短縮を見込めることが分かっているのです。

傷病手当金を受給して休職した場合、受給期間が6か月未満の人の復職率は69%ですが、6か月以上の人の復職率は18%にとどまっていることがわかっています。

いかに職場早期復帰を目指すのかが復職成功への鍵であることは間違いないのですが、そこは厚労省。

縦割り行政の弊害という大きな壁が立ちはだかるのです。

 

労働分野では「勤務地などを限定した多様な正社員の円滑な導入・運用促進」を掲げ、短時間正社員制度も推奨していますが、労働分野とがん対策(医療分野)との連携が上手になされていないのです。

 

「傷病手当金の分割取得」や子育て期と同様に「疾病で休職中の社員に対し社会保険料負担の本人負担・会社負担の免除」などを早急に検討する必要があるにもかかわらず、それは労働分野の仕事。

細かく分かれている所管に対し、一つ一つ対応するのではなく、厚労省全体でプロジェクトチームを立ち上げ、サポートすべきではないのかと主張しましたが、通り一辺倒の回答のみ。

 

また、がん宣告は、患者自身に加え、家族、特にその子供たちに大きな影響を与えることが知られており、多方面から十分なサポートを受けながら、より良い療養生活とその後の人生を送ることができるような支援体制が不可欠なのです。

国立がんセンターの調査でも、1年に新たに発生する18歳未満の子どもをもつがん患者数は56000人を超え、その子供たちの数は約9万人弱と推定されています。

また、我が国ではがんで家族を失った遺族へのグリーフケアも充実されておりません。

がんで配偶者をなくす人は年間20万人。

計画に書き込まれようと、指針に言葉だけ踊っていても現場が動き患者さんやご家族に充実した支援が行われていないのであれば、それは無策と同じこと。

がん患者家族の実態を把握し、一日も早く支援体制を構築すべきだとお願いいたしました。

 

様々なライフステージにあるがん患者さんが必要な支援を受けられる社会全体の構築が急務です。

今日は私の問題意識を政府と共有させてもらっただけに終わりました。

次期国会において、さらに細かく具体的な議論ができる様に準備を進めてまいりたいと思います。

 

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プロフィール

薬師寺道代
(やくしじみちよ)
参議院議員
医師
(専門:生命倫理・医療政策・緩和医療・医療コミュニケーション)
NPO法人 からだとこころの発見塾 理事

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